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IT調達
IT調達のプロセスを確立させるためには

第1回:何故、RFPなのか

著者:プライド  稲葉 洋明   2007/1/16
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RFPの兆し

   すでにRFP(Request For Proposal:提案依頼書)という言葉は一般化してきており、RFPによるIT調達を行っているユーザ企業も増えてきましたが、その方法論が確立していない所も多くあります。そこで本連載ではRFPの重要性を考え直し、どのようにしてIT調達に取り組めばよいのかを解説していきます。
世の中の変化

   近年、「選択と集中」の掛け声のもとにIT関連業務のアウトソース化が進んでいます。筆者の知るユーザ企業でも、自社側には企画部門のみを残し、その他すべてをアウトソースしている所もあります。その結果、アウトソーサーへの依存性が強くなり「経営戦略をIT要件に落とし込み、ITベンダーにRFPとして伝える技術」までも外部に流出してしまったのです。程度の差はあれ、このようなユーザ企業が多いのが現状です。

   その一方で、日本版SOX法に対応するために内部統制強化に対する課題認識が高まっています。その結果としてIT調達に関しても、調達コスト削減だけでなく「ITベンダーとの癒着の防止」「購買プロセスの適正化」などの調達業務のガバナンスを確立する必要があります。

   そこでRFPを用いたIT調達プロセスを確立し、実行することで、このような課題が解決できると期待されています。


RFPとは

   まずは、RFPが何かを簡単に振り返ってみます。簡潔にいってしまうと、RFPとはITベンダーに提案書を依頼するための文書です。よって、作成するのはユーザ企業、受け取るのはITベンダーやSIerなどになります。実際には次のような流れの中で用いられます。

   ユーザ企業は必要としているITシステムの要件を基にしてRFPを作成し、何社かのITベンダーに渡します。それを受けたITベンダーやSIerは、RFPに基づいて提案書をまとめて提出します。数社から提案を受けたユーザ企業は、それを客観的・論理的に評価し、最適なITシステムを選択します(図1)。

RFPとITシステム調達の流れ
図1:RFPとITシステム調達の流れ
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   つまり原則として、ITベンダーが提案書を作成するにあたって、ユーザ企業から得られる情報はRFPのみです。

   よって、ユーザ企業がITベンダーから最適なITシステムの提案を受け取るためには、「目的」や「要求」を細部にわたって明確に記述しておかなければなりません。

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株式会社プライド 稲葉 洋明
著者プロフィール
株式会社プライド
稲葉 洋明

中小企業診断士
前職は自動車部品メーカで、生産管理システムの構築やISO9001の認証取得を担当する。システム開発方法論および情報システム分野に興味を抱き、株式会社プライドに入社。現在、システム開発方法論「プライド」を軸に、IT調達プロセスの構築支援に携わっている。


INDEX
第1回:何故、RFPなのか
RFPの兆し
  なぜRFPによるIT調達が必要か?
  IT調達プロセスの確立