TOPキーパーソンインタビュー> 世界で通用するソフトウェアテクノロジー企業を目指すサイオステクノロジー
世界で通用するソフトウェアテクノロジー企業を目指すサイオステクノロジー
大切なのは信念を持って諦めずにやり抜く執念
サイオステクノロジー株式会社 代表取締役社長  喜多 伸夫

サイオステクノロジー株式会社
代表取締役社長  喜多 伸夫

京都工芸繊維大学卒。1993年から1999年までの米国生活中、Linuxと出会いシリコンバレーのLinuxベンチャー企業の立ち上げを支援。また米国のオープンソースソフトウェア開発者たちとも積極的に交流。1999年に帰国後、Linuxシステムメーカーのナンバーワンを目指してノーザンライツコンピュータ株式会社の社長に就任。2002年1月、株式会社テンアートニと同社の合併に伴い、株式会社テンアートニの社長に就任。同社の社名変更に伴い、2006年11月よりサイオステクノロジー株式会社社長(現職)。

1   2  次のページ
LinuxとJavaのリーディングカンパニーとして知られるテンアートニが11月6日、設立10年目にして社名を変更し、「サイオステクノロジー株式会社」として新たなスタートを切った。同社の社名変更の経緯や狙い、注力するテクノロジー、今後の事業戦略などを、代表取締役社長の喜多 伸夫氏にうかがった。

— 新社名の由来について教えてください
喜多氏: サイオス(SIOS)は、「Software for Innovative Open Solutions」の4つのキーワードの頭文字から名付けました。文字通り「革新的なソフトウェア技術を活用して、オープンソリューションを提供していく」という思いが込められています。
新社名の条件として、まず海外でも発音しやすいこと、そして短くて覚えやすいことを重視していました。社名決定にあたっては、多くの候補の中から検討を重ねました。カタカナでもアルファベットでも4文字の短いフレーズで覚えやすく、さらに「夢溢れるソフトウェアテクノロジーで価値を創造し、社会の発展に貢献する」という我々の企業理念にも通じる社名としました。

— なぜ社名を変更することになったのでしょうか
サイオステクノロジー株式会社  代表取締役社長  喜多 伸夫 喜多氏: 2005年に行ったコーポレートアイデンティティの見直しが1つのきっかけです。コンサルティング会社に依頼して、社員やクライアント、株主のステークホルダをはじめ、メディアも含めた様々な方々にインタビューやアンケートを実施し、当社に対する意見をいただいたのですが、その結果「テンアートニ」という社名がよくないという声がありました。

もう1つ、ワールドワイドでのブランド力向上という重要な目的があります。これまで、海外では「テンアートニ」という社名は発音しづらく、なかなか覚えてもらえないこともありました。当社では今後、国内外問わずにグローバルにビジネスを拡大していこうとしており、今年5月のSteelEye Technology社の買収はその第一歩でもあります。そこで、我々にとっての新たなスタートとなる変革の年に、社名もグローバルに通用するものに新しく変えていこうということになったのです。

— 「Intranet」を逆さまにして「Tenartni(テンアートニ)」という、これまでのユニークな社名に親しみを持っていた人も多いのでは
喜多氏: 確かに、そのようにいってくださる方もいます。ただ「イントラネット」という言葉自体がテンアートニ設立当時は新鮮だったわけですが、すでに旬の時期を過ぎた今では、少々古めかしいイメージを拭えないという点がありました。

— 5月に買収したSteelEye社のビジネス展開について教えてください
喜多氏: HAクラスタシステムのLifeKeeperとネットワーク経由での非同期ミラーリングを可能とするSteelEye Data Replication for Linux(SDR-L)が主軸であり、10月に最新版の販売を開始しました。これらの周辺製品の開発にも取り組んでおり、今後はCDP(Continuous Data Protection:継続的データ保護)ソリューションを中心とした領域のビジネスをさらに強化していきます。

今、J-SOX法や内部統制に関連して、社内のデータをどのように保全していくかが非常に大きな課題となっています。これまで以上に、Business Continuity(事業継続性)が問われるようになりますので、我々のデータレプリケーション製品を利用したディザスタリカバリなどのソリューションのニーズもさらに拡大していくのではないかと考えています。
— 2005年はLinuxディストリビューションのサポート売上高で国内シェアナンバー1となりましたが、今後もこのビジネスは拡大していくのでしょうか
喜多氏: もちろん、Linuxディストリビューション向けのサポートサービスには今後も注力していきます。しかし、当社の最大の強みは、Linuxだけでなくバーティカル(垂直)に、スタックとしてサポートサービスを提供できるところにあります。JBossやTomcat、Apacheといったオープンソースソフトウェアのサポートをすでにはじめていますし、すべてを網羅した形での年間サポート契約を結んでいるクライアントも複数社あります。今後はそのような形でのサポートサービスの提供が増えていくでしょう。

— ミドルウェアにも注力しているわけですね。アプリケーションについては
サイオステクノロジー株式会社  代表取締役社長  喜多 伸夫 喜多氏: 現在はSFA(Sales Force Automation)などの業務アプリケーションを自社で開発・販売していますが、今後も新たなWebアプリケーションのパッケージをリリースしていく可能性は大いにあります。そこは特にオープンソースということにこだわらずに、いいものを独自に開発していきたいと思っています。ユーザにとってメリットが大きければもちろんオープンソースを使うし、そうでなければオープンソース以外の技術も使っていくというスタンスです。

— サイオステクノロジーのコアテクノロジにはLinuxともう1つ「Java」がありますが、やはり今後もJavaに力を入れていくのですか
喜多氏: ソフトウェアの開発において言語としてJavaを使うこと自体は重要ではなくて、あくまでクライアントが望んでいる機能を実現できるシステムを実現するために、最も適している言語は何かというところからスタートするべきと考えています。

当社はやはりJ2EE系のエンジニアが多いのですが、PHPなどその他の言語でも十分対応できますので、特にそこはJavaでなければいけないとはまったく思っていません。基本的にはオープンソースを中心としたオープンソリューション領域の中で、クライアントに対して最適と思われる開発言語を選んでシステム開発していくということを重視しています。


1   2  次のページ