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第3回:SUSE Linux

著者:市民電子情報網  安田 幸弘   2006/11/8
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SUSE LINUXの特徴

   Red Hatに次ぐシェアを誇るSUSE LINUXは、ヨーロッパを中心として広く使われているディストリビューションだ。日本では、SUSEを買収したNovellが日本語版を2004年に発売し、本格的な普及がはじまった。

   SUSE LINUXの特徴は「YaST」と呼ばれる非常に使いやすいGUIの設定ツールを用意している点にある。YaSTについては後述するが、その使いやすさは現在でもLinuxの設定ツールの中で群を抜いている。

   ドイツで誕生したSUSE LINUXは、管理の容易さから個人ユーザ層にも愛用者が多い。さらにネットワークOSの分野で有名なNovellに買収された後は、IBMやHPといったハードウェアベンダーと協力関係を築き、企業システムのサーバ分野での積極的なビジネスを展開している。

   現在、SUSE LINUXは企業向けのLinuxディストリビューションとして、サーバ版の「SUSE Linux Enterprise Server」とデスクトップ版の「SUSE Linux Enterprise Desktop」の2種類のラインナップを持っており、2006年11月時点の最新バージョンは10となっている。

   SUSE LINUXはRed Hat Enterprise Linuxと同様に、高い技術による高品質のパッケージと十分なサポートを武器に、エンタープライズ市場で有力なディストリビューションの1つとなっている。

   バイナリパッケージにRed Hat Enterprise Linuxと同じRPM形式を採用しているものの、共通点はそれほど多くない。Red Hat Enterprise Linuxのパッケージは比較的落ち着いたバージョンをベースに構成されているが、これに対してSUSE LINUXは新しい技術やバージョン、さらに非オープンソースライセンスのソフトウェアを積極的に取り入れている。

   このほか、ファイルシステムに「ReiserFS」を、セキュリティ面で「AppArmor」をそれぞれ採用していることや、サーバ分野に強いといわれるRed Hat Enterprise Linuxに対して、個人向けのデスクトップに力を入れているなど、多くの面でSUSE LINUXはRed Hat Enterprise Linuxとは一線を画すディストリビューションとなっている。
セキュリティシステム「AppArmor」
図1:セキュリティシステム「AppArmor」
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   なお、Red HatのFedora Coreに相当するコミュニティ版ディストリビューションとして、openSUSEプロジェクトによる「openSUSE」がある。


コスト

   従来、SUSE LINUX製品はパッケージによる販売が行われていたが、現在のSUSE Enterprise Linux 10では、Red Hat Enterprise Linuxと同様にユーザーサポートを購入する形式となっている。

   価格表によると、Server版では数千円のメディア代に、年間4万円程度のアップデートサービスまたは年間10〜20万円程度のサポート付きアップデートサービスを組み合わせており、Red Hat Enterprise Linuxとほぼ同等の水準となる。

   ただし、デスクトップ版については数千円のメディア代と年間6,000円程度のアップデータのサブスクリプション料金となる。サポート内容が異なるため直接比較することはできないが、デスクトップ用途として使うのであればRed Hat Enterprise Linux WSよりかなり割安感があるといえる。

   なおコミュニティ版のopenSUSEは、インターネットなどを通じて無償で入手できるほか、1万円弱の価格でパッケージを購入できる。

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株式会社市民電子情報網 安田 幸弘
著者プロフィール
株式会社市民電子情報網  安田 幸弘
取締役。主にオープンソースソフトウェアを使用した非営利組織向けのネットワークサービスの提供やサーバの運用/管理を行うとともに、フリーの技術ライターとしてインターネット、サーバ管理などに関して書籍や雑誌記事を執筆している。


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