JBossは買収という節目を迎えたものの、「JBoss World Las Vegas 2006」では業界の潮流に乗りながらさらに進展を続けていることを前回紹介した。前回に引き続き、各セッションを概説していく。
JBoss Seam
このセッションでは、JBossの新しいアプリケーションフレームワークである「JBoss Seam」の紹介がThomas Heute氏とGavin King氏(両氏ともにJBoss/Red Hat Inc.)によって行われた。
Java EE 5では、フロントエンドのAPIであるJSFとバックエンドのAPIであるEJB(3.0)を中心として、従来(J2EE 1.4以前)の開発スタイルの大幅な刷新がはかられている。これらの新しいAPIを利用することにより、コンポーネントの大部分を簡素なコード(POJO、アノテーション)で記述することができ、またDIやAOPによってコンポーネント間の複雑な連携を解消することができるようになる。また、ほぼすべてのコンポーネントにおいて厳密な単体テストを実施することも可能となる。
Sun Microsystems社が主導するエンタープライズアプリケーションの標準仕様(Java EE/J2EE)では、往々にしてフロントエンドとバックエンドのアーキテクチャが噛み合わず、結果としてアーキテクチャの複雑化やXMLの氾濫を招くことが多いが、JBoss Seamのようなアプリケーション全域をカバーするようなフレームワークを利用することで(内実はJava EEの実装であるが)、そのような問題を緩和することができる。