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JBoss World Las Vegas 2006 Report
JBoss World Las Vegas 2006 Report
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第1回:JBossの新しいアーキテクチャの流れを知る
著者:野村総合研究所  岡田 拓郎   2006/8/24
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はじめに

   2006年6月12日から15日までの4日間、ラスベガスにてJBossユーザ向けのカンファレンス「JBoss World Las Vegas 2006」が開催された。今期は、JBoss(.ORGコミュニティ)にとってRed Hat社による買収という重大なイベントがあり、組織的にも製品的にも大きな変革を迫られることが予想されたが、意外にも基調講演を除いてはセッションで改めて言及されることもほとんどなく、「JBoss」という製品自体にはさしたる影響もなく正常に進展を遂げているように(表向きは)見えた。

講演に聴き入る参加者
講演に聴き入る参加者

   本連載では、当日開催された100あまりものセッションの中から、特にJBossの次期バージョンを形づくる新しい技術の概説を行うとともに、筆者の所感を交えながらコミュニティが現在おかれている状況と将来像を探っていく。

※カンファレンスのプログラムやプレゼンテーション資料については以下のWebサイトを参照されたい。
http://www.jbossworld.com

JBossスタッフによる参加者への直接的なガイダンス
JBossスタッフによる参加者への直接的なガイダンス


Developing Lightweight POJO Applicationss

   このセッションではJBossの新しいアーキテクチャの概説についての解説がMichael Yuan氏(JBoss/Red Hat Inc.)によって行われた。

   Yuan氏は、最近台頭しつつある「Lightweightな」開発スタイルが解消しようとしている問題として表1の3点をあげた。JBoss Application Serverの次期バージョン(5.0)では、マイクロコンテナ、JBoss AOP、EJB3コンテナという3つの「Lightweightな」コンポーネントを中心にして、これらの問題の解決をはかる。

  1. フレームワークの複雑化
  2. XMLの氾濫
  3. 外部リソースへの依存性

表1:「Lightweightな」開発スタイルによって解消されるもの

   マイクロコンテナ(JBoss Microcontainer)は以前のマイクロカーネルに取って代わる新しいコア・コンポーネントであり、JBoss Application Serverから独立して稼動させることのできるDIコンテナである。これにより、複雑な依存関係を持っていたJBossのサービス群をPOJO (Plan Old Java Object:フレームワークやミドルウェアに依存しないシンプルなオブジェクト)によって開発できるメリットが得られる(表1の1に対応)。

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株式会社野村総合研究所 岡田 拓郎
著者プロフィール
株式会社野村総合研究所  岡田 拓郎
証券系システムの基盤づくりの一環としてフレームワーク、ミドルウェアの研究開発に携わる。現在は、JBoss.ORGコミュニティのコミッタと共に性能解析ツールJBossProfilerの拡張を行っている。また、オープンソースのコンポーネントライブラリ「Nimbus」のコミッタも勤める。