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コマーシャルオープンソースの波
第3回:ソフトウェアの開発スタイルの今後
著者:
ケアブレインズ 内田 隆平
2006/7/21
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はじめに
前回まででコマーシャルオープンソースのメリットについて様々紹介してきました。最終回の今回は、コマーシャルオープンソースの動向と日本におけるコマーシャルオープンソースの今後について解説していきます。
コマーシャルオープンソースの動向
欧米で先行してはじまったコマーシャルオープンソースは、ユーザに受け入れられているのでしょうか。図1はサーバ用Linuxを有償で提供するベンダ(コマーシャルオープンソースベンダ)の売り上げ、ならびにその用途の推移をあらわしています。
図1:サーバ用Linuxの用途別売り上げ推移
出典:Open Source Business Conference 2005
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)
図1を見るとサーバ用に利用されているLinuxは毎年急成長しており、その用途も当初のWebサーバから社内インフラへと大きくシフトしていることがわかります(図の青と緑以外が社内用途)。
サーバ用Linuxは、ほとんどがRed Hat Enterprise Linuxのような有償版Linuxであるため、「コマーシャルオープンソースであるLinux」が社内システムとして導入される傾向が定着したといえるでしょう。
RDBMS市場でも同じような傾向が見られます。表1はGartnerがまとめた各RDBMSベンダの成長率です。RDBMS市場は全体でも成長率がよいのですが、MySQL ABなどのコマーシャルオープンソースベンダの成長率は群を抜いて高くなっています。
ベンダ
2004年〜2005年売上成長率(%)
Oracle
7.8
IBM
6.3
Microsoft
16.6
コマーシャルオープンソース
(MySQL ABなど)
47
表1:RDBMS市場の動向
出典:Gartner(注1)より抜粋
※注1:
Gartner Says Worldwide Relational Database Market Increased 8 Percent in 2005
http://www.gartner.com/press_releases/asset_152619_11.html
また、InfoWorldのレポート(注2)によれば、JBossは2005年から2006年にかけて、250%から300%の売り上げ成長を遂げる予定と発表されています。いずれの数字を見ても、企業向けのコマーシャルオープンソースソフトウェアが急速に顧客に受け入れられていることを示しているといえるでしょう。
※注2:
Open Sources by Dave Rosenberg and Matt Asay : InfoWorld
http://weblog.infoworld.com/openresource/archives/2006/04/so_what_happens.html
米国では、これら以外にも様々な分野でコマーシャルオープンソースベンダが活躍しはじめています。表2はその代表例をタイプ別に一覧にしたものです。
種類
ベンダ
有償サポートサービス型
Red Hat、Jboss、Alfresco
デュアルライセンス型
MySQL、Sleepycat
セパレートライセンス型
SugarCRM、Scalix
表2:コマーシャルオープンソースベンダ
「有償サポートサービス型」は、ソースコードをGPLなどのライセンスで公開し、そのサポートサービスなどを有償で提供するものです。「デュアルライセンス型」は、同じソースコードでありながら、通常の使用にはGPLなどの無償ライセンスを、組み込み販売などの再販ベンダには商用の有償ライセンスで提供するものです。そして「セパレートラインセンス形」は、無償で公開するソースコードと別に、企業向けの有償ライセンス版のソースコードを別途提供するものです。
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著者プロフィール
株式会社ケアブレインズ 内田 隆平
株式会社ケアブレインズ取締役CTO。
東京大学農学部卒業、早稲田大学ビジネススクール技術経営学修士(MBA in Technology Management)。米国SugarCRMコア開発メンバー、SugarCRM日本語化リーダーを兼務。17,000名のSugarCRMコミュニティではトップ10コントリビューターとして表彰される。
INDEX
第3回:ソフトウェアの開発スタイルの今後
はじめに
ソフトウェアベンダのスタイルも変わる
日本におけるコマーシャルオープンソース