仮想化技術でロードバランシングを知る

2006年6月26日(月)
平 初

負荷分散環境の耐障害性確認

   負荷が分散されることは確認できたと思います。次に擬似的なノード障害を発生させて耐障害性について確認します。

   擬似的な障害はXen管理OSからコマンドを実行するだけです。「xm shutdown」コマンドにてwww2とwww5にノード障害を起こします。


疑似的にノード障害を起こす


# xm shutdown www2
# xm shutdown www5
# xm list
Name ID  Mem(MiB)  VCPUs   State  Time(s)
Domain-0 0 128 1 r----- 368.7
www1 21 128 1 ------ 23.2
www3 23 128 1 -b---- 19.4
www4 24 128 1 ------ 23.0

   再度、penstatsで確認してみるとwww2とwww5のステータスが異常値になっていることがわかります。



www2と2www5がノード障害の場合
図4:www2と2www5がノード障害の場合
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

負荷分散環境の障害復旧確認

   実際に擬似的にノード障害を実際に起こしてみて、耐障害性を確認することができました。次に障害ノードが回復した場合、クラスタリングメンバーに参加できるかどうかを確認します。

   障害ノードの回復もXen管理OSからコマンドを実行するだけです。「xm create」コマンドにてwww2を回復させます。

障害ノードを回復する


# xm create /opt/xen/www/www2/centos4.conf
Using config file "/opt/xen/www/www2/centos4.conf".
Started domain www2

   再度、penstatsで確認してみるとwww2のステータスが0に戻っていることがわかります(図5)。


「www2」が障害回復した場合
図5:「www2」が障害回復した場合
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

まとめ

   負荷分散環境のテストにもXenを利用できることが理解できたかと思います。仮想化技術のメリットは、テスト環境を構築するのが容易にすることだけではありません。障害テストの際にサーバルームまで行って電源ボタンを押さなくてもよくなります。

   本連載は全3回に渡って仮想化技術の活用方法を説明してきました。仮想化技術の活用方法は使う人の数だけ存在します。新たな活用方法を思いついた方はそれを広めましょう。巡り巡ってきっとあなたの役に立つはずです。

   あと、2006年の3月に仮想化技術を推進するグループ「仮想化友の会」を発足しました。仮想化技術について熱く語り合いたい人にオススメです。ご参加お待ちしています。



仮想化友の会メーリングリスト
http://list.ospn.jp/mailman/listinfo/v-tomo
レッドハット株式会社

サービス事業統括本部 ソリューション・アーキテクト部
ソリューションアーキテクト&クラウドエバンジェリスト

商社系システムインテグレーター、外資系ハードウェアベンダーを経て、現在、レッドハット株式会社にてクラウドエバンジェリストとして活躍。2006年に仮想化友の会を結成し、日本における仮想化技術の普及推進に貢献した。

主な著書に「KVM徹底入門」(翔泳社)、「Xen徹底入門」(翔泳社)、「100人のプロが選んだソフトウェア開発の名著」(翔泳社)、「Red Hat Enterprise Linux 7がやってきた」(日経ITpro)がある。

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