SOAを実現させる技術

2006年7月10日(月)
高安 厚思

結合要素間の技術は変更可能にせよ

   呼び出し先のモジュール(サービス)が実装されている環境が何であっても、クライアント側はそれにあわせることなく、そのモジュールを呼び出すことができる必要がある。

   しかし、システムはその時期の技術として優れたものを選択されていることが多い。

   呼び出し先の技術に依存した呼び出し方を迫られると、再構成が難しくなる。例えば、EJBで構築されたシステムとメッセージキューで構築されたシステムを再構成する場合を考えてみよう。

   もしEJBとメッセージキューの両方の方式で、モジュールを呼び出さなければならないとしたら、システム再構成が複雑となる。このような場合でも、 SOAPならSOAPだけで呼び出せるようにすべきだ。つまり、呼び出し先の技術基盤に依存しないようにすることで再構成を容易とする。

これらの指針を実現する技術

   これらの指針はシステムを再構成する際の規範となるべきルールだが、その実現手段がわからなければ意味がないだろう。

   その実現手段をまとめると以下のようになる。

指針 解法
RPC指向よりもメッセージ指向に CBR・ESB
インタフェースの堅牢性と情報構造の柔軟性を保つ XMLスキーマ
同期よりも非同期 メッセージシステム・ESB
ヘテロジニアス環境で実現する ESB
結合要素間の技術は変更可能にせよ ESB
表3:指針とその実現技術

   この表3の多くがESBによって実現される。次回はこのESBの説明をすることで上記の指針が実現できることを示す。

最後に

   前回は疎結合について説明し、今回はビジネスプロセス統合をおこなうための技術的な条件を整理した。

   実際にビジネスプロセス統合をするには、その前にデータ統合やマスタ統合などいくつかのアプローチを経て実現しなければならないかもしれない。この導入ステップは各社各様であり、環境や組織文化に応じて適切なロードマップを描く必要がある。

株式会社オープンストリーム テクニカルコンピテンシーユニット 主管システムズアーキテクト

横浜国立大学経営学部卒。銀行系シンクタンクでオブジェクト指向技術の研究に携わった後、大手SIerにて アーキテクチャ構築、プロセス研究に携わった。現在株式会社オープンストリームにてSOAを中心とする研究開発およびアーキテクチャ構築に従事。最近は XMLのダイナミックさに魅了されている。

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