SQLを記述しない「Torque」

2006年8月9日(水)
山之内 弘行

スキーマ定義ファイルの作成


   次に、スキーマ定義ファイルを作成します。スキーマ定義ファイルは、Antの「JDBC」タスクで作成します。

   JDBCタスクの実行手順は、パッケージ・エクスプローラから「build-torque.xml → 実行 → Antビルド」を選びます。
EclipseによるAntタスクの実行(手順1)
図3:EclipseによるAntタスクの実行(手順1)

   すると、以下のような画面があらわれますので、実行するタスクに「JDBC」のみを選択し、「実行」ボタンを押します。

EclipseによるAntタスクの実行(手順2)
図4:EclipseによるAntタスクの実行(手順2)
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   処理が終わると、schemaフォルダにschema.xmlが作成されますので、生成されたファイルを*-schema.xmlという形のファイル名に変更します。ここではproject-schema.xmlというファイル名にしています。スキーマ定義ファイルは以下のとおりです。

スキーマ定義ファイル(project-schema.xml)
スキーマ定義ファイル(project-schema.xml)
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   各要素の説明を表3に示します。

タグ名 属性名 説明
database name データベース名を設定する
table name テーブルの名前を設定する
column name 列の名前を設定する
type 列の型の設定する
required 値が必須かどうかを設定する(デフォルトはfalse)
size 数値または文字のサイズを設定する
primaryKey プライマリキーであるかどうかを設定する(デフォルトはfalse)
javaType javaプログラムの中でのこの列の型を設定する(object/primitive)
foreign-key foreignTable 参照するテーブルの名前を設定する
reference local このテーブルの結合する列名を設定する
foreign 参照するテーブルの列名を設定する

表3:スキーマ定義ファイルの各要素の説明


SQLファイル/OMクラス/Peerクラスの作成


   次に、SQLファイル/OMクラス/PeerクラスをAntの「main」タスクを使って作成します。

   OMクラスというのは、テーブル1行に対応したクラスで、Peerクラスというのは、テーブル操作用のクラスです。Antの「main」タスクを実行することによりこれらのクラスを自動生成することができます。

   「main」タスクの実行が成功すると、sqlフォルダにはSQLファイルが、torqueパッケージにはOMクラスとPeerクラスが作成されます。

   作成されたOMクラスとPeerクラスは、ともに「Base」と名のつくクラス(以下Baseクラス)を継承しています。BaseクラスはTorqueが使う基底クラスで、開発者はBaseクラスには手を加えず、Baseクラスを継承したPeerクラスに対して実装していきます。

   なお、SQLファイルはデータベースやテーブル作成などを行う際に使用するファイルですので、今回は使用していません。


Peerクラスの実装


   作成されたPeerクラスに実装をしていきます。実装したPeerクラスは以下のとおりです。

Peerクラス(ShainPeer.java)
public class ShainPeer
   extends torque.BaseShainPeer {

   public static List doJoinBusho(Criteria criteria) throws Exception {
      return doSelectJoinBusho(criteria); 
   }

}

   1のdoSelectJoinBusho()メソッドはjoinを行うためのメソッドで、親クラスのBaseShainPeerクラスに定義されています。BaseShainPeerクラスに定義されているdoSelectJoinBusho()メソッドのアクセス修飾詞はprotectedなので、外部のクラスからアクセスすることはできません。

   そこで、子クラスのShainPeerクラスのpublicメソッドでdoSelectJoinBusho()メソッドを呼び出し、外部のクラスはShainPeerクラスのメソッドを呼び出すようにします。


Torque Runtimeによるアプリケーション実行
   Runtimeは、Generator(開発環境)で作成したクラスを実行する環境を提供します。ですので、まずはGenerator(開発環境)で作成したクラスをRuntime(実行環境)にコピーします。

torque-Runtimeプロジェクト
図5:torque-Runtimeプロジェクト

株式会社ビーブレイクシステムズ Javaスペシャリスト
前職ではJavaを用いたシステム開発をメインに作業を行う。更なるキャリアアップを目指し、実力次第で上流工程に携われるビーブレイクシステムズに転職。現在はJavaアーキテクトとして活躍中。

連載バックナンバー

Think ITメルマガ会員登録受付中

Think ITでは、技術情報が詰まったメールマガジン「Think IT Weekly」の配信サービスを提供しています。メルマガ会員登録を済ませれば、メルマガだけでなく、さまざまな限定特典を入手できるようになります。

Think ITメルマガ会員のサービス内容を見る

他にもこの記事が読まれています