TOP情報セキュリティ> スパムメールの脅威とは
スパム対策テクノロジー
迷惑メールを80%削減するスパム対策テクノロジー

第1回:スパムメール対策の基礎を知る
著者:トレンドマイクロ  宮崎 謙太郎   2006/5/23
1   2  3  4  次のページ
スパムメールの脅威とは

   普段、仕事にプライベートに、情報のやり取りやコミュニケーションツールとして電子メールを使うことは当たり前になっています。しかし重要なメールだけではなく、怪しい商品の売り込みや会員サイトの募集告知などの宣伝メッセージが詰まった大量に送られてくるスパムメール(迷惑メール)に悩まされている人は多いのではないでしょうか。

   昨今では全世界でやり取りされるメール総数の半数から7割以上をスパムメールが占めるという報告が様々な海外のメディアや調査会社から発表されています。特に最近は日本語のスパムメールが増えていることを実感されていることと思います。

   当初、企業の広告宣伝の手段として使われていたスパムメールですが、今ではメール本文に書かれたリンク先や添付ファイルから、ウイルスやスパイウェアなどの悪意のあるプログラムへの感染、フィッシング詐欺やワンクリック詐欺などの金銭被害の発生など、より危険性の高い脅威に直結するケースが多々発生しています。

   読者の皆様も、いかにも怪しいURLが記載されたスパムメールを受信された経験が何度もあるのではないでしょうか。つまりスパムメールはそのものがただ迷惑なだけでなく、「病原体を媒介する虫」のような存在でもあるのです。


企業の管理コストも増大させるスパムメール

   スパムメールの被害としては、受信してしまうこと自体が迷惑なものです。スパムメールを削除したり仕分けするのに手間がかかったり、業務上重要なメールが埋もれてしまうのはもちろんですが、「スパムメールだから削除しておけばいい」という意識以外にも、注意が必要な点があります。

   例えば朝会社についてメールの確認をするとしましょう。届いている100通のメールのうち、80通がスパムメールであると仮定します。誤って仕事に関連するメールを削除しないように内容の確認をしながら削除していく処理に10分はかかるのではないでしょうか。

   このような作業を1人だけならともかく、従業員全員がしていることになります。例えば従業員が1000人の会社で年間240日営業する企業の場合には下記のような計算になります。

1000人×10分×240日=4万時間

   つまりスパムメールの処理だけで企業は4万時間もの余計な人的コストを支払っていることになるのです。あくまで仮定の上での計算ですが、これを金額ベースにすると膨大なものであることはおわかりでしょう。

   このような人的コスト増大だけではなく、スパムメールによるサーバ負荷の増大についても無視できません。1通のスパムメールが1KBのストレージエリアを使用すると仮定した場合、上記と同様の条件では下記のような計算になります。

180通×1000人×1KB=80MB

   1日あたり80MBだと、1年間における合計では約30GBにもなります。これだけのストレージエリアをスパムメールのために無駄に消費されていることになるのです。

   実際にスパムメール対策のソリューションを導入することで、ウイルスが検出されるメールが以前の約10分の1にまで減少したという事例もあります。スパムメールの脅威は複雑になってきましたが、スパムメールを良く知り適切な対策を行うことで、未知の脅威に対する予防策を打つことができるともいえます。この連載では、どのような対策や注意が必要なのかを紹介していきたいと思います。

1   2  3  4  次のページ


株式会社トレンドマイクロ  宮崎 謙太郎
著者プロフィール
株式会社トレンドマイクロ  宮崎 謙太郎
2001年トレンドマイクロ株式会社入社。法人向けサポート部門でゲートウェイ製品を担当した後、技術的に高度な問題に対応するサポートチームに異動。スーパーバイザーとしてチームのリーダを勤める。社内公募により2005年にプロダクトマーケティングへ異動。ゲートウェイ製品やスパムメール対策サービスなどを担当し現在に至る。


INDEX
第1回:スパムメール対策の基礎を知る
スパムメールの脅威とは
  スパムメール送信方法の変化
  スパムメールの送信元
  コンテンツフィルタリング