企業/事業上での業務の仕組みのIT化に対する投資は次のものに分類でき、投資効果追求の力点を変える必要がある。
- 企業/事業戦略上でのビジネスフォーメーション上で必要な仕組み
- 事業/業務の処理効果、情報付加価値を狙う仕組み
- 事業/業務の生産性、コストダウンを追求する仕組み
- 既存ITの改革/既存IT陳腐化解消
表1:企業/事業上での業務の仕組みのIT化に対する投資
新しく情報システムを設計開発構築する時には、新しく構築する仕組みの機能を創造するために、ユーザ企業内で多くの試行錯誤の作業時間が消費される。そしてそれは隠れたコストとなっている。
一般にこの段階のコストはIT投資には含まれていない。構築対象が決まり、「何を作るか」の基本仕様が作成されて投資案件として提示された後で、発注する案件の投資金額の削減アプローチとして「IT投資削減」は理解されている。
- 投資案件の事前分析と案件概要の創造上で発生するコスト
- IT化対象の厳選(投資範囲の絞り込み)
- 業務システムの概要(RFP)で調達する場合
- 業務プロセス/業務フローを提示して調達する場合
- 個別業務処理/ビジネスデータ定義までを提示して調達する場合
- 納品検収段階から移行までに発生するコスト
表2:IT投資コストを総括しコスト削減を進める上で必要な視点
しかしIT投資局面では次の視点から、IT投資コストを総括しコスト削減を進める必要がある(表3)。
表3:ユーザ企業におけるIT支出削減のアプローチ(IT投資局面) (画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)
調達段階では、3〜5までの調達側の見積照会上の見積り仕様(納入仕様)の詳細度により、契約発注金額の削減を進めるのが望ましい。IT投資コスト削減を目指すならば、投資案件の見積仕様を発注者が明確に定義することが必要であり、見積契約を明確に公正に行うことができる能力が問われることになる。
システムベンダーの見積金額の妥当性を判断できるだけの経験と知識がIT投資コスト削減を実現する上で必要となる。特に、システムベンダーに責任とリスクを負担させることは、中途半端なシステム構築となるか、ベンダーが大きなリスクを負担して実現するかの何れかとなり、企業の発展とともに進化する必要がある情報システムの調達の進め方としては避けるべきである。
このためには、システムベンダー側は納入物を明確にし、コスト構造を明確し公正な見積金額の提示を行わなければならない。これはボーナス&ペナルティ付きのコストプラス方式を核にして契約金額を設定することで追求することができる。
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