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オープンソースの適用可能性を示す
第4回:OSSはビジネスになるのか?「魔法のお鍋」を読み直す その2
著者:
ニユートーキヨー 湯澤 一比古
2006/4/4
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オープンソースに対する疑問と回答
オープンソースを使ったビジネスは成功できるのだろうか。オープンソースに関するレポート3部作最後を飾る「いくら食べても食べ物が減らない魔法のお鍋」の昔話から解説していく。
今回は、前回に引き続き「いくら食べても食べ物が減らない魔法のお鍋」を題材にして、オープンソースのビジネスの疑問にお答えする。
アップルの糖衣錠モデルは
周辺ツールで自社製品を拡充このモデルは、むしろ「真珠モデル」と呼びたい。真珠は、真珠貝が体に入り込んだ異物を自分に都合のよいものに変えるために、表面にコーティングをしていく過程で作られる。
そしてIT製品のほとんどは、この真珠の核にあたる物でしかない。その周りに多くの人が輝きを付加することで、初めて有用で役に立つものに成長する。ハードやシステムは、付属製品の開発によって支えられているといっても過言ではない。
ハードならデバイスが顕著な例だろうし、ソフトならアドインやテンプレート、教育システムや利用技術、マニュアルも含まれるかもしれない。
これらの追加機能製品が重要な分野では、オープンソース戦略が有効だろう。単なる仕様公開では不十分な場合もあるが、ソースが公開されていれば、これら周辺製品の開発に弾みがつくのは間違いない。
中途半端な独占を目指した製品より、広く多くの協力者を引きつける製品の方が市場価値が高い。これは、近年の電気製品やゲーム機の興亡を見てみれば一目瞭然だ。なぜファミコンが絶対だと思われた市場にプレイステーションが参入できたのか。ここに、公開による攻撃の成功の事例がある。
特に今後は、ベンチャーによる起業が盛んになると想定され、急速なマーケットシェアの確保が株式戦略上重要になる。この時にはオープンソースの糖衣錠戦略からは目を離せない。
レストランがレシピを配る
逆転モデルがOSSを活性化レシピとは、料理の材料と調理方法が書いてある資料だ。
ある日、メニューのレシピがいくつか書いてあるチラシが、家に届けられる。受け取った人は美味しそうだからと作ってみる。けれども、何かが少し足りない。そうすると、そのレシピを配っているレストランに行ってみたくなるというわけだ。もし、レストランでの食事に満足できれば、また次のレシピが撒かれた時にも、同じことが起こるだろう。レシピが素晴らしいチラシになっている訳だ。
ソフトの世界でも同じことが起きるとレイモンドは主張する。そしてレシピにあたるのがOSSだ。
ソフトは、「動かしてなんぼ」だ。使った後の成果物だけ手に入れられれば十分という人も多いだろう。この端的な例にASPがある。同サービスの利用者にとって、動いているソフトがオープンソースなのかどうかには関心がない。成果物さえ手に入れば文句はないのだ。
例えば、ASPで提供するアプリケーションをオープンソースで配布したり、既にオープンソースとして流布しているソフトを使ってASPを運営するとしよう。これはまさに「レシピを配るレストラン」のモデルではないか。
これは重要なことに気付かせてくれる。オープンソースではなく、自社独自の技術やアプリケーションを使っているASPサービスには用心しろということだ。サービスの提供元が単独1社の場合には特にだ。企業の倒産やマーケット戦略の変化で、サービスの打ち切りや大幅な利用料金の値上げがあり得るからだ。
そうした場合でも、オープンソースを利用しているASPであれば、対策が打てる。簡単な道ではないかも知れないが、自社でシステムをダウンロードして動かしたり、他の企業に同様のサービスを立ち上げてもらえるからだ(図1)。
図1:ASPサービスのリスク回避
セルベッサについていえば、三井物産やR&D外食ネットが、Web食材受発注システムのASPを運営している。
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著者プロフィール
株式会社ニユートーキヨー 湯澤 一比古
財務部情報システム室 室長。53年東京生まれ。
75年にニユートーキヨーに入社。8年弱のウエイター経験を経て、システム担当に就任。ニユートーキヨーが「セルベッサ」をオープンソースとして発表した時に、システム担当者として初めてOSSに触れる。現在、同社のシステム室長。OSCARアライアンス、OSSAJなど、複数のオープンソース推進団体に参加。セルベッサ以外にも「ガラガラドア」や「オルット」などのオープンソースシステムを手がけている。
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第4回:OSSはビジネスになるのか?「魔法のお鍋」を読み直す その2
オープンソースに対する疑問と回答
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