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オープンソースの適用可能性を示す
オープンソースの適用可能性を示す

第13回:クライアントのOSとしてLinuxを検証する
著者:イーシステム  芝 国雄   2006/7/19
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約4割の企業や官公庁・自治体がLinuxサーバを導入済み

   Linuxは、1998年頃から注目されはじめた。当時は、どちらかというとPCを趣味とする人の遊びの範囲か、技術者が情報収集のために使ってみる程度で、ビジネス上で利用するケースは少なかった。だが、今では世界的に有名な大企業の基幹業務システムに導入されるようになっている。

   今回は、このLinuxについてサーバとクライアント双方のOSとして考えてみたい。

   図1のように、約4割の企業や官公庁、自治体がLinuxサーバを導入している。また業種別では、8割以上の官公庁や自治体などがLinuxサーバを導入しているが、逆に金融関連では3割にも満たない。
Linuxサーバの導入状況 出典:Linuxオープンソース白書2006(インプレス/矢野経済研究所、2005-2006)
図1:Linuxサーバの導入状況
出典:Linuxオープンソース白書2006(インプレス/矢野経済研究所、2005-2006)

   では、これらの企業や官公庁、自治体では、今までサーバとして使っていたWindowsや商用UNIXを、Linuxサーバに切り替えたのかというと、そうではない。昨今のLinuxやOSSの勢いを見ると、既存のサーバの切り替えがもっと多いのではないかと思ったが、意外にも新規に導入するケースが6割以上で、Windowsや商用UNIXからの切り替えは、9.6%と7.8%と少ない(図2)。

最も新しく導入したLinuxサーバの導入目的(新規/入れ替え・更新/リプレースの区別) 出典:Linuxオープンソース白書2006(インプレス/矢野経済研究所、2005-2006)
図2:最も新しく導入したLinuxサーバの導入目的
(新規/入れ替え・更新/リプレースの区別)
出典:Linuxオープンソース白書2006(インプレス/矢野経済研究所、2005-2006)

   これは、現在稼働しているシステムのサーバを、Linuxに切り替えるメリットがそれほどないからだろう。

   Linuxサーバの導入メリットは、導入時と運用時のコストの削減だ。半面、導入時と導入後の不安要素(デメリット)としては、Linuxサーバを管理できる技術者がいないことや、技術者のスキル不足があげられる。

   現在、稼働しているシステムのライセンスやメンテナンスの費用として、多額の運用コストを支払っている場合には、Linuxサーバへ切り替えるメリットは大きい。その際の材料の1つとして、前述のデメリットと照らしながら判断すると良いだろう(図3)。

Linuxサーバ切り替え伴うメリットとデメリット
図3:Linuxサーバ切り替え伴うメリットとデメリット

   筆者は、この先数年間は加速度的にLinuxサーバの導入が進んでいくと見ている。それは、前述のデメリットが時間とともに解消されていく傾向にあるからだ。

   また、既にLinuxサーバを導入している企業を「先発組」、まだ導入していない企業を「後発組」とすると、先発組の6割が今後もLinuxサーバを導入する意向を持つ。一方、後発組の7割は今後も導入の意向がないとしており、二極化が進む傾向にある。

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イーシステム株式会社 芝 国雄
著者プロフィール
イーシステム株式会社  芝 国雄
グプタ事業部 部長
1995年、日本グプタ(現イーシステム)入社。米グプタ社製品の統合開発ツールの「Team Developer」、RDBMSの「SQLBase」といった製品の日本語化をはじめ技術支援や販売、マーケティング業務に従事。主に、ユーザ企業のシステム開発の現場で、システムの設計に関わる事前調査や助言などの上流工程から、プログラミング時のトラブルシューティングまで、幅広く支援していた。2000年4月、携帯電話を活用したワイヤレスソリューション事業の立ち上げに従事。2001年、グプタ事業に専念し、現在に至る。


INDEX
第13回:クライアントのOSとしてLinuxを検証する
約4割の企業や官公庁・自治体がLinuxサーバを導入済み
  5%に満たないクライアントOSとしての利用
  導入のポイントはLinuxクライアントの管理