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Xenによるサーバ仮想化
オープンソースXenによるサーバ仮想化

第1回:仮想マシンとサーバ仮想化について
著者:平 初   2006/1/16
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ハイパーバイザータイプ

   ハイパーバイザータイプの仮想マシンとして、VMware社のVMware ESX ServerやMicrosoft社のVirtual Server、オープンソースソフトウェアのXenなどがあります。このようなソフトウェアを仮想マシンモニタ(Virtual Machine Monitor:VMM)と呼ぶ場合もあります。

   仮想マシンをサーバとして動作させることが前提で作られているためにGUIを起動することは少なく、Webベースの管理インターフェースを持つものが多いです。また仕組みの一部にLinuxやWindowsが搭載されていますが、主にデバイスドライバやネットワークプロトコルとして利用されています。

   またハイパーバイザータイプの場合、仮想マシンにBIOSを搭載しているタイプと搭載していないタイプの2種類があります。

   前者の場合、ゲストOS側に修正を加えることなく動作させることが可能です。ほとんどの場合、プログラムコードを動的に変換し動作させるバイナリトランスレーションという技術を使っています。

   後者の場合、ゲストOS側に修正が必要な場合があります。ゲストOSに修正を加えるタイプの仮想化は疑似仮想化(Para-Virtualization)といいます。

ハイパーバイザータイプの仮想マシンソフトウェア
図3:ハイパーバイザータイプの仮想マシンソフトウェア


アプリケーションタイプ

   アプリケーションタイプの仮想マシンとして、VMware社のVMware WorkstationやMicrosoft社のVirtual PCが有名です。オープンソースソフトウェアではQEMUやBochsといったものがあります。いわゆるPCエミュレータと呼ばれているソフトウェアです。

   主にデスクトップ用途やソフトウェア開発で利用されるケースを想定して作られています。学習用として十分使えるため、Windows上で動く仮想マシンソフトウェアでLinuxの勉強を行われた方も多いか思います。

   アプリケーションタイプの仮想マシンでもサーバの構築は行えますが、不特定多数のユーザにネットワークサービスを提供した際、ライセンス違反になる場合や仮想マシンソフトウェアベンターの動作サポート対象外になる場合があります。

アプリケーションタイプの仮想マシンソフトウェア
図4:アプリケーションタイプの仮想マシンソフトウェア


サーバ仮想化とは

   サーバ仮想化とは、サーバ向けの仮想マシンソフトウェアを利用し、1台のサーバを独立した複数台のサーバとして動作させることです。

   なぜサーバ仮想化が注目を集めているのでしょうか。それは頭を抱える方も多い「サーバ台数の増加」を食い止めることができるからです。

   日本では特に「1アプリケーション = 1サーバ」という概念が浸透しています。販売店に対して、「3層レイヤー構造で、負荷分散、冗長構成、システム監視」と注文するとサーバ10台程度の見積りがくることでしょう。もし1年ごとに同じようなシステムを1セット購入すると5年間でサーバ台数が50台以上になってしまいます。

   「1アプリケーション = 1サーバ」は考え方が簡単だから良いといえば良いのですが、実際に1アプリケーションが常時100%の負荷になることはありません。しかしどんな処理でもピークとなる時間があります。

   そこでピーク時間が重ならないアプリケーションを特定し、仮想サーバ上に処理を移行させることで、サーバの物理的な台数を減らすことができます。

   物理的な台数が減るということは、ハードウェアの保守費用やサーバの電気代金、運用に必要なスタッフの人件費が削減できるのです。

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平 初(TAIRA Hajime)
著者プロフィール
平 初(TAIRA Hajime)
仕事では、Linuxを中心としたシステムのコーディネーション、技術サポート、仮想マシンソフトウェアのデモンストレーションなどを行っている。オープンソースの活動としては、Open Source Conference、Fedora JPの勉強会などで講師、またLinux関連書籍の執筆活動を行っている。最近は、サーバ向け仮想マシンソフトウェアXenの勉強会を積極的に行っている。


INDEX
第1回:仮想マシンとサーバ仮想化について
  サーバ仮想化について
ハイパーバイザータイプ
  サーバ仮想化を実現するためには