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世界で通用するソフトウェアテクノロジー企業を目指すサイオステクノロジー
大切なのは信念を持って諦めずにやり抜く執念
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— 現在、特に注目されているテクノロジは何でしょうか
喜多氏: SteelEye製品に関連してお話ししたCDPもそうですが、他には仮想化があげられます。我々のビジネスにとっても大変重要な技術であり、今後も積極的に取り組んでいく分野の1つです。

具体的なソリューションとしては、10月にVirtual Linux Sustaining Solution(Virtual LSS)というサービスの提供を開始しました。これは、旧バージョンのLinux環境をハードウェアのみ新しく交換したいというクライアントのニーズに対応したもので、最新のハードウェアでは動作保証されていない古いバージョンのLinuxおよびそのOS上で稼働しているアプリケーション環境を、仮想化技術の利用によってそのまま最新のハードウェアに移行します。

このVirtual LSSでも、どういう仮想化技術を使うかということは特に定義せずに、クライアントの状況に合わせてVMwareでもXenでも最適なものを選んで提供していく形になります。
— サイオステクノロジーとしての今後の目標などをお聞かせください
喜多氏: 当面の目標としては、世界で通用するソフトウェアテクノロジー企業となることです。まず日本、アメリカ、ヨーロッパ市場での販売力を強化し、中期計画では2009年に連結売上90億円を目指します。売上のメインはやはり日本となります。

今のところは日本とアメリカでそれぞれ得意な領域に取り組んでいる状態で、将来的にはもっとエンジニアの行き来なども流動的になっていくと思います。当然ではありますが、事業展開と同様に社内の組織自体もグローバル化していきます。

サイオステクノロジー株式会社  代表取締役社長  喜多 伸夫 技術力という点では、SteelEye社の買収によって大変優秀なエンジニアを多数獲得できましたし、社内には複数のLinuxカーネルエンジニアも抱えています。ただし今後の方向性としては、カーネルエンジニアがいるからLinuxを突き詰めるということではなく、CDPや仮想化技術、Webアプリケーションなども含めた多彩な分野に、優秀なカーネルエンジニアの能力をどんどん活かしていきたいと思います。

それによってOSからミドルウェア、Webアプリケーションまですべてに対応できるという我々の強みがさらに強固なものになるでしょう。

— では、10年後のサイオステクノロジーはどうなっていると思いますか
喜多氏: 10年後には売上1000億円のソフトウェアテクノロジー企業になっていたいですね。それではじめて、欧米のソフトウェア企業と渡り合えるのではないでしょうか。

残念ながら、現状では日本のソフトウェア企業は世界で戦えていません。ソフトウェアの世界的なニュースというと、最近ではマイクロソフトとノベルの提携やOracleによるRed Hat Linuxのサポート開始などがありますが、それらのほとんどがアメリカの話です。一部、SAPなどヨーロッパのソフトウェア企業のニュースもありますが、日本は皆無ですよね。この状況を我々がなんとか打破したいと思っています。

— それを達成するために必要なものは何だとお考えですか
喜多氏: 「世界で通用するソフトウェアテクノロジ企業を目指す」という意識を全員が持つことです。社員1人1人が強く思っていないと、やはりそうはなりません。「こんなもんでいいんじゃない」となったら、もう終わりです。そう思った時点で衰退がはじまります。現状を維持しようという考え方は、後退を意味しています。常に人より早いスピードで前進するということが最も重要です。そういう意識が全員にないと、とても実現できないでしょう。

— 最後に、喜多社長の座右の銘をお聞かせください
サイオステクノロジー株式会社  代表取締役社長  喜多 伸夫 喜多氏: 「信念と執念」ですね。あまりITっぽくないかもしれませんが。やると決めたことは、信念を持って諦めずにやり抜く執念が必要です。ただし、ビジネスにおいては、早めに諦めて次の手を打ったほうがいいというシーンも多々あります。つまり、何かを達成するという信念は曲げてはいけませんが、それを達成するためのプロセスは環境や条件の変化に合わせて常にフレキシブルに対応するということです。

我々にとっては「世界で通用するソフトウェアテクノロジ企業を目指す」というのが信念であり、社名はそれを達成するためのプロセスの1つとして変更したわけです。これからのサイオステクノロジーの展開に、ぜひご期待ください。
サイオステクノロジー株式会社 代表取締役社長  喜多 伸夫

サイオステクノロジー株式会社
代表取締役社長  喜多 伸夫

京都工芸繊維大学卒。1993年から1999年までの米国生活中、Linuxと出会いシリコンバレーのLinuxベンチャー企業の立ち上げを支援。また米国のオープンソースソフトウェア開発者たちとも積極的に交流。1999年に帰国後、Linuxシステムメーカーのナンバーワンを目指してノーザンライツコンピュータ株式会社の社長に就任。2002年1月、株式会社テンアートニと同社の合併に伴い、株式会社テンアートニの社長に就任。同社の社名変更に伴い、2006年11月よりサイオステクノロジー株式会社社長(現職)。


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