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オープンソースで構築する業務システム特集

第1回:オープンソースCRM『SugarCRM』
著者:ケアブレインズ  内田 隆平   2006/05/17
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カスタマーサポート部門

   電子メールは大変便利なツールであるが、カスタマーサポート部門が顧客とのやり取りに電子メールを使うと様々な副作用を起こすことがある。例えば、次のような経験をしたことはないだろうか。
  • どの担当者が何をお客様に回答したのかわからない
  • 回答の役割分担が不明確で、二重に回答している
  • お客様との一連の対応履歴が時間をかけて検索しないとわからない

表1:カスタマーサポート部門が電子メールを顧客とのやり取りで使う際の副作用

   このような時、SugarCRMのインバウンドメール機能とケース管理を使えば一連のメールのやり取りをすべてケースに関連付けることができ、担当者は回答ステータスを含めた一連のやりとりを一元管理できる。メールをケースに関連付けることはSugarCRMが自動的に行うので、手作業は必要ない。

:ケース管理
図5:ケース管理
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)


SugarCRMの効果

   従来CRMは非常に高価な存在だったこともあり、CRMをすでに導入している企業の割合は米国の中小企業以上の場合全体の25%、日本では10%しかないという。CRMへの取り組みは大企業だけが行えばよいものではなく、顧客と接するすべての企業や団体にとってCRMは必要なものといえる。

   有償版SugarCRMを選択すればテクニカルサポートを付けても導入費用が従来の商用CRMの5分の1から10分の1になるため、世界中でCRM導入の新たな波が来ているといえるだろう。

   加えて、SugarCRMには業務アプリケーションならではのメリットもある。業務担当者も多く参加するコミュニティでは営業業務やコールセンター業務などに関する議論を交わすことができ、ベストプラクティスのノウハウを交換することができるのだ。

   例えば、今回ご紹介した電子メールマーケティングの仕様が決まったのもコミュニティ内だった。複数のマーケティング担当者が電子フォーラムに集まり、ターゲット(送信先)の絞込みの方法、送信先リストの作り方、配信後のバウンス(戻り)処理など、現場レベルの業務フローや課題、要望などについて活発に意見交換した。

   こういった場に参加することで、先進的なユーザがどのように電子メールマーケティングを行っているかが手に取るようにわかる。

   また逆に、よい発想が浮かんだら世界中から同志を募り、その機能を短期間に実装してしまうことも可能だ。オープンソースCRMは業務ソフトウェアを作るコミュニティであるだけではなく、よりよい業務プロセスを目指し、互いに助け合う場でもあるのだ。

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株式会社ケアブレインズ 内田 隆平
著者プロフィール
株式会社ケアブレインズ  内田 隆平
株式会社ケアブレインズ取締役CTO。
東京大学農学部卒業、早稲田大学ビジネススクール技術経営学修士(MBA in Technology Management)。米国SugarCRMコア開発メンバー、SugarCRM日本語化リーダーを兼務。17,000名のSugarCRMコミュニティではトップ10コントリビューターとして表彰される。


INDEX
第1回:オープンソースCRM『SugarCRM』
  コマーシャル・オープンソースCRMとは
  部門ごとに見るSugarCRMの主な機能
カスタマーサポート部門