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Enterprise OS
改めて知っておきたいRed Hat Enterprise Linux 4 - 管理編

第1回:外部ストレージの設定と運用について
著者:日本ヒューレットパッカード  古賀 政純   2006/4/6
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RHEL4におけるパーティション作成とファイルシステム

   内蔵ディスクへOSをインストールする場合や、外部ストレージにアプリケーションを格納するためのデータ領域を作成する場合も、論理ディスク上にOSから認識可能なパーティションを作成する必要があります。パーティションは通常OSの付属コマンドで作成できます。

   HP製のSmartArray 6iやSmart Array P600などのいわゆる「cciss系コントローラ」とよばれるアレイコントローラを搭載したProLiantサーバにおいては、OSをインストールするローカルディスクのデバイス名が「/dev/cciss/cXdX」であらわされます。

fdiskコマンドによるcciss系コントローラ配下の論理ディスクのパーティション作成例:
# fdisk /dev/cciss/c0d0

   OSがインストールされた状態で「/dev/cciss/c0d0」にどのようなパーティションが作成されているかを確認するには、fdiskコマンドに -lオプションを付けます。

cciss系コントローラ配下のパーティション情報を確認する方法:
# fdisk -l /dev/cciss/c0d0

   下図では、ccissコントローラ配下に72GBのディスクが搭載されている場合に、fdiskコマンドによってパーティション情報を確認する例です。LinuxのスワップパーティションIDは82番で、Linux用のパーティションIDの83番が付加されていることがわかります。

fdisk -l /dev/cciss/c0d0によりローカルディスクのパーティション情報を表示
図4:fdisk -l /dev/cciss/c0d0によりローカルディスクのパーティション情報を表示
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   ファイルシステムの作成には、mke2fsコマンドを用います。-jオプションによりジャーナリングが有効になるため、ext3ファイルシステムとしてフォーマットされます。フォーマットしたパーティションをマウントするには、mountコマンドを用います。mountコマンドには様々なオプションが存在しますが、一番単純な方法は、パーティションとマウントポイントを指定するだけです。

# mount /dev/cciss/c0d0p6 /home1

   これにより、/home1以下にデータを格納すると「/dev/cciss/c0d0p6」のディスク領域にデータが書き込まれることになります。OSが再起動されたあとも自動的に/home1をマウントするようにするには「/etc/fstab」エントリを記述します。


Logical Volume Manager(LVM)によるシステム拡張

   ストレージの空き容量がなくなるという問題は、どれだけコンピュータの性能が向上してもついてまわる問題です。管理者はストレージの増強とテープバックアップ装置へのデータ退避を余儀なくされます。しかし、いざシステムの増強を行おうとしても、ディスクのパーティション設計が固定されてしまっており、ボリュームの追加ができないなどの問題点が潜んでいる場合もあります。

   しかしRHEL4では、ディスクのボリュームの追加や容量拡大を容易にできる「Logical Volume Manager」(LVM)を搭載しているため、空き容量がなくなってきたディスクに対して、新規のディスクを追加することでボリュームの空き容量を増やすことが可能となっています。

   ちなみにRHEL3ではLVM1が搭載されていましたが、RHEL4になってLVM2が採用され、さらなる機能拡張が施されています。そのためRHEL4では、標準インストーラを行うとLVMを選択するようになっており、LVMが安定してLinux上で利用できることをうかがわせます。実際、LVMにはエンタープライズシステムでは欠かせないスナップショットによるバックアップ機能を搭載しており、データベースシステムやSAN環での利用に耐えられるものになってきています。

   RHELにおけるLVM領域の作成は、基本的に3段階のレイヤに分かれます。 ハードウェアに近い層から「LVM物理ボリューム」「LVMボリュームグループ」「LVM論理ボリューム」です。

   ファイルシステムからは、LVM論理ボリュームがディスクのボリュームとして見えますので、LVM論理ボリュームをマウントポイントにマウントして利用します。


今回のキーポイント

   今回のキーポイントは次のようになります。

  • 小規模システムには、外部SCSIストレージ接続が利用されることが多い
  • 中大規模システムでは、Fibreストレージ接続が一般的である
  • ProLiant内蔵Smart Arrayコントローラ配下のディスクはRHEL4上で「/dev/cciss/cXdY」としてデバイス名が割り当てられる
  • FC HBA配下のFibre Channel接続の外部ストレージのディスクは/dev/sdXとしてデバイス名が割り当てられる
  • RHELでは、Logical Volume Manager(通称LVM)が標準で利用可能である
  • RHEL4のインストール時に、デフォルトのパーティション設定ではLVMになっている
  • LVMでは物理ディスクに対して、下記の3段階のレイヤを作成する

  • - LVM物理ボリューム(pv)

    - LVMボリュームグループ(vg)

    - LVM論理ボリューム(lv)
  • 作成したLVM論理ボリューム(lv)を、マウントポイントとなるディレクトリにマウントする

表2:今回のキーポイント

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日本ヒューレット・パッカード株式会社 古賀 政純
著者プロフィール
日本ヒューレット・パッカード株式会社
古賀 政純

2000年よりUNIXベースのHAクラスタシステム及び、科学技術計算システムのプリセールスに従事。並列計算プログラミング講習会などを実施。その後、大手製造業及び官公庁系の大規模Linuxクラスタの導入、システムインテグレーションを経験。現在は、大規模エンタープライズ環境向けのLinuxブレードサーバ及びHP Serviceguard for Linux(HAクラスタソフトウェア)のプリセールスサポート、システム検証を担当している。毎日、Linuxサーバと寝食を共に(?)しています。


INDEX
第1回:外部ストレージの設定と運用について
  RHEL4における外部ストレージへの接続
  Linux上で稼動するACU
RHEL4におけるパーティション作成とファイルシステム