PRサイトの設計時に知っておきたいこと

2009年2月18日(水)
後藤 大典

忘れてはいけない顧客育成!

 PRサイトにおいて、訪問者がすぐに成果(CV=Conversion)に結び付くアクションをするとは限らない。対象とする商材が高額で購買検討に時間を要するものであったり(住宅、自動車、保険など)、人生におけるインパクトが大きいものであったり(就職、転職など)する場合は、PRサイトへの訪問からすぐに最終的なアクションにつながることはむしろまれである。

 そのような場合には、顧客を「育成する」という視点が必要だ。PRサイトを見ることで購入したくなるような空気を醸成し、購入につながる小さなハードルを1つ1つクリアさせ、最終的なアクションへとつなげるための「道筋」を設計するという考え方だ。

 例えば、自動車を購入するためには「メルマガ登録 → カタログ請求 → 試乗依頼 → 見積もり依頼」といったステップがある。まだ購入を検討中の層に対してメルマガ登録で広く集客を行い、アンケートなどで顧客データベースに顧客の情報を蓄積する。購入の確率が高いと判断した顧客に対しては、「試乗イベントの告知」や「割引のご案内」を送り、少しずつ購入に向けて背中を押していくというシナリオだ。このような顧客育成のシナリオ設計と、それを実現するための仕組みづくりは欠かせない要素だ。

 シナリオの作成には営業担当者に営業活動方法をヒアリングしたり、マーケティング部門の取り組みを参考にしたりするなど、自社ですでに行っている活動の中にヒントが隠されていることも多い。

 また顧客育成シナリオは、高額商材の購入における後押しだけでなく、日用品などのリピート購入の促進にも活用できる。生涯にわたる優良顧客を離さないためにも、顧客育成の考え方は重要なポイントだ。

 ところで、顧客育成には手間がかかる。したがってPRサイトを運営する側としては育成すべき見込み客を絞り込む必要がある。例えば、訪問者を「今すぐ客」「そのうち客」「冷やかし客」に分類する。そして、「今すぐ客」は最終的なアクションへと誘導し、「そのうち客」はメルマガ登録や資料請求など、最終的なアクションよりは心理的ハードルの低いアクションへと誘導し、購買の意欲が高まってきたところで最終的なアクションへと誘導する。一方で「冷やかし客」には、特にアクションをしないなどの対応が必要だ。

 このようにして「今すぐ客」以外にも「そのうち客」を取り込み、徐々に購買へと誘導することで、PRサイトのCPA(Cost Per Acquisition:顧客獲得単価)を徐々に下げていくのである。

PRサイトに必要なシステムとは?

 顧客育成を実現するにあたり、顧客データを適切に保存、運用する必要がある。ネットを通じた顧客育成を実現する際によく用いられるのが、顧客データベースと連動したメール配信、アンケート、ポイント制といった仕組みである。

 顧客データベースを構築するにあたっては、データベース項目の設計が肝になる。顧客の見込み度が判別できるような項目を、できるだけ入れ込んでおく必要がある。メール配信であればメール内のクリックの有無が判定でき、それが顧客データとひも付いているのがベターだし、アンケートの回答結果も顧客データと連動している必要があるだろう。前項でも述べたように「今すぐ客」と「そのうち客」は顧客育成のシナリオに乗せるが、「冷やかし客」には特に対応をしない、といった見極めを行うためにも、データベース項目には見込み度が判別できる項目を入れておくとよい。

 またPRサイトは、訪問者の注目を集め、関心を高めるためにエモーショナルなコンテンツをいち早く取り入れる必要もある。最新のグラフィック技術やFlashアニメーション、Ajaxなど最新の技術トレンドを把握し使いこなすセンスも重要だ。顧客データベースの開発と運用などセキュリティーに気を配らなければならないことも多く、リスクと費用のバランスの取れたシステム設計、運用が求められるため、社内のリソースで対応が難しい場合には、任せられるパートナーを見つけておく必要があるだろう。

株式会社スパイラル
代表取締役。2000年株式会社神戸デジタル・ラボに入社、インターネット関連部門の立ち上げにかかわる。その後、ウェブマーケティングコンサルティング会社にて、企業サイトのコンサルティングおよびアクセス解析ツールの企画を行う。2006年にマーケティング企画会社、株式会社スパイラルを設立。http://www.sprl.jp/

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