実践!ロゴ制作

2008年12月9日(火)
河田 雅彦

ようやくデザインに着手

 さあ、お待ちかねのデザイン制作です。しかし、まだPCの前には座らないでください。今からは大量の紙と鉛筆、ペンを握って、ひたすらアイデア出しを行います。

 先ほどのコンセプト立案によって方向性とイメージは固まっているはずです。ここが、ひらめきを引き出す作業です。頭に浮かんだアイデアを無心に紙の上に表現します。1時間に20~30個のペースで100個程度は描く必要があります。初めは慣れないかもしれませんが、こういう作業があってこそロゴデザインのクオリティーがアップするのです。

 いきなりPCに向かってしまうと、アイデア出しの段階でデザインが固まってしまい、同じようなデザインしか思い浮かぶことがなくなってしまいます。また、この作業は自分のひらめきと引き出しを増やすことにもつながります。もちろん、クライアントとの打ち合わせ時にアイデアを描きだす訓練ともなります。ロゴ以外のデザインを作成する時にも行うべきでしょう。

 この時の注意点としては、必ず完成形を頭に浮かべてから描きだすことです。そうしないと、単純に手を動かしているだけで、ほとんど意味がありません(初めはそれでもかまいません、まずは手を動かすことが重要です)。また、悩みすぎないこと、何回かに分けて行うことも良いアイデアを引き出すポイントです。

 アイデア出しが終わったら、10枚ずつ壁に張り出し1枚をチョイスします。すると10個程度のアイデアに絞られますから、この10個をデジタルデータとして作成します。もし、あなたがディレクターであれば、この段階でのアイデア10枚をデザイナーやオペレーターに発注してみましょう。おそらく、あなたの想像を超えたデザインが出てきます。

デザインする上での注意点

 Tanner ChristensenというデザイナーのWebサイトに「45 Rules for Creating a Great Logo Design(http://www.tannersite.com/rules-of-logo-design/)」というページがあります。

 すべてを守る必要はないと思いますが、かなり良いことが書かれているのでピックアップしました。

・絶対に必要というわけではないものはすべて除外する
・ロゴは白黒でもかっこいいものであるべき
・最近のトレンドを避け、時を越える良いデザインを作る
・アイデアを考える前に誰がロゴを見るのかを理解する
・言いたいことをストレートに表現する
・たくさん作れば作るほど、正しい答えにたどり着く

 いかがでしょうか。いくつか微妙なものも入っていましたが、そのほかのルールもうなずかされるものがあります。それぞれのルールを守ることは何でもありませんが、これらのルールを守りつつ、コンセプトに沿った、かっこいいデザインが求められます。そしてジャッジするのはデザイナーである皆さんです。自分に厳しい判断ができればよりよいデザインが完成するでしょう。

 そのほかに、筆者は常に客観的視点を持つということを意識しています。制作に集中していると自分のデザインにほれ込んでしまったり、固執してしまったりと、デザインが偏ってしまいがちです。「よし!完成!」と思っても、翌日にもう一度確認することや、少し大きめに出力すること、また、出力してみたものを壁に張り、鏡を通して見てみることなどがオススメの確認方法です。もちろん、使用されるサイズを想定してすべてのサイズを出力することも忘れないでください。

株式会社キノトロープスーパープロジェクト
大学卒業後、建築・プロダクト模型制作を経て、グラフィックデザイナーに転向。SPツール/パッケージデザイン等を経験後、企業のオフィシャルサイトの企画立案、企業ブランディングなど、デザイン&ディレクションを中心に活動。2008年7月よりキノトロープスーパープロジェクト取締役を務める。http://www.k-superproject.co.jp/

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